インターネット広告企業様をゆるく調べてみた

いまをときめくインターネット広告企業様についてゆるく調べます。たまに別の業界のイケてる企業様も紹介します。

世界最強のアドテク企業「Criteo先生」の決算(2015年Q1)を見てみました

世界最強のアドテク企業、Criteo(クリテオ)が2015年第1四半期の決算を発表されてましたのでまとめてみました。

 

 Criteoはインターネット広告業界に身をおく方なら誰でも知っている、いま世界でもっともイケてるフランスのアドテク企業です。

 

特徴としてはダイナミックリターゲティングと言われる広告手法で、ディスプレイ広告領域(バナー広告)において、広告を配信してお客さんを増やしたい広告主が持っている商品データベースとクリテオの持つ広告配信システムを同期することで、広告主のサイトへ訪れたことがあるユーザーに対して、もっとも興味があるであろう商品広告を自動生成し表示させることができるサービスです。

 

ユーザーにマッチした広告を自動で生成できるという意味では、単品の商品を扱うサイトよりも、商品数が多ければ多いほどこの技術の強みが活かせるので、ショッピングサイトや旅行サイト、人材紹介系、不動産などは相性が良さそうですね。

 

①秀逸な広告配信システム

 

ユーザー視点で広告が表示されるまのでイメージとしては、

 

 ① 新婚旅行でハワイへ旅行へ行きたいので旅行サイトのハワイのページを見る

 ② 旅行探しに疲れる・・・

 ③ 検討するためにいったん離脱

 ④ ひまつぶしにサッカー情報がのっているサイトを閲覧

 ⑤ サッカーサイトのバナー広告にさっき見ていた「ハワイ旅行」と、予算や時間の都合でハワイに行けない人がよく行く「グアム旅行」のバナー広告が一緒に表示される

 

といったかんじです。優柔不断な日本人に猛プッシュをしてくれる心優しき広告ってことですね・・・。

 

ちなみにバナーはこんなかんじのものです。

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 どっちも20万円以下の旅行が表示されてるのは、おそらく20万円以下の予算で旅行を探してたからとかではないでしょうか!?概念自体はAmazonのおすすめ商品とかと似たようなかんじですね。

 

このユーザーに合わせてバナーが自動的に変化するのを「ダイナミックバナー」というのですが、「クリエイティブ生成レコメンドロジック(ダイナミックバナー) × 広告配信ロジック(広告主にとってもっとも魅力的なユーザーとタイミングに最適な入札)」がCrtieoの強みとなっております。

 

②2015Q1の決算概要

  

さてさて、そんなCriteoの決算ですが、フランス企業でユーロ表示のため、まずは決算資料にのっていた売上を日本円換算(1ユーロ=134円)にしてみました。

 

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グラフにしてみるとこんなかんじです。 

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直近四半期での売上高が350億円!すげー!アジアだけでも73億円!!

 

インターネット広告専業でこれだけ売上を稼いでいる企業って他にはないですよね。日本でいったら同じアドテク企業のフリークアウトが11億、VoyageがSSP事業で16億、サイバーエージェントさんのアドテク関連が2クォーター前で24億でしたので、規模感的にはもう圧倒的!ってかんじになりそうです。

 

 

さらに素晴らしいのがこれだけの売上規模を出している中での成長率。こちらが前期比での成長率の推移です。

 

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350億円という規模感にも関わらず、四半期単位で安定して10~20%くらいの成長率で推移してますね。サラっと言ってますが3ヶ月後に会社の売上が毎回10~20%成長し続けてるってスゴイですよね。さらに今回の四半期ではアジアが28%増と大幅な成長でした。このあたりはどこか大きいクライアントが導入したのか、大手SSP(配信するメディアを束ねるサービス)との接続が進んだ影響なのかは気になるところです。

 

あと、ここにはのっていないですが、ここ数年は売総利益率が40%前後と安定して高いのも特徴です。しかもこの数値がここ数年ほとんどぶれずに継続されているので、よほど競合に対して圧倒的に優位な広告配信システムを提供できているんでしょうね。

 

③今後の戦略

 

さらに今後の展開としては2月の2015年事業戦略説明会で説明されていた、CTR偏重ロジックからCVR偏重ロジックへの変更だったり、 クロスデバイスへの対応だったり、購入金額予測モデルの導入だったりと、アドテク企業の中でも2歩も3歩も先をいっているかんじです。もう戦闘力が高すぎてフリーザさんのスカウターも壊れちゃいそうなくらいです。

 

・・・。

 

 

さらに日本での展開としてYahoJAPANとも広告配信における戦略的パートナーシップを独占で提携しております。ようするに最強の広告配信システムを持っていて、最大の配信面(=配信ユーザー数)を持っているってことですね。

 

 

いやー、このままだと日本のアドテク市場もCriteo先生に席巻されちゃいそうな勢いです。

 

でも、人類はピッコロが現れたときも、ベジータが現れたときも、フリーザ様が現れたときも、最初は圧倒的な力を前に絶望していましたが、その力の差をバネに成長し、最終的には倒すことができました(というより2人は仲間になってて、1人は未来からやってきた青年に一瞬で倒されましたが・・・)。

 

そんなこんなで世界最強のアドテク企業「Criteo先生」に負けずに、がんばれ、日本のアドテク企業!負けるな、日本のアドテク企業!!