【2015年10-12月期】アドテク関連プロダクトの売上を調べてみた
2015年10-12月期の決算が出揃ってきましたので、今回は「アドテク関連プロダクト」を提供している会社の中で、「プロダクト単位での売上を発表している」もしくは「アドテク事業領域での発表を行っており大半の売上を特定のプロダクトが占めている」という内容を、各プロダクト単位でまとめてみたいと思います。
ノミネートは下記4社の6つ(8サービス)になります。
ファンコミュニケーションズ(nend、nex8)
VoyageGroup(fluct、Zucks)
フリークアウト(FreakOut/HIKE)
ユナイテッド(Bypass/AdStir)
まずは各プロダクトの現在の売上規模感やシェア状況をつかんでいただくため、2015年10-12月期における、各プロダクトの売上をまとめたものから見ていきたいと思います。
国内主要アドテクプロダクト -2015年10-12月期売上-
(※単位:百万円)
スマートフォン専用ADNWのnendがダントツのトップになっています。SSPやDSPに関してはほとんどが10億円~20億円の規模感(2014年リリースと後発組のnex8を除く)に収まっているので、国内ではこのあたりの売上がトッププレイヤーのラインになってくるのではないかと思われます。
ちなみにこちらには掲載されていませんが、2015年12月に上場したばかりのソネットメディアワークスが運営するDSPのLogicadも、四半期で10億円くらいの売上(※)になっていると思われます。
※ソネットメディアワークスは四半期単位や事業セグメントごとの売上を開示していないため、第3四半期累計の売上高(40億円)から第2四半期累計の売上高(26億円)を引いて、新規上場時の有価証券報告書に記載されていた割合(DSP2:アフィリエイト1)をもとに概算で算出しています。
あと、上場はしていないのですが、ADNWとアフィリエイトを運営するアイモバイルも2015年7月期で通期の売上が150億円と、四半期ベースで計算すると30~40億円規模となるため、規模感的にはかなり上位に食い込んでくるものと思われます。
しかしそう考えると、日本ではDSPやSSPよりもADNWのほうが売上規模が大きいというのがおもしろいですよね。欧米ではDSPのCriteoが四半期で3億ユーロ(日本円で約380億円)だったり、SSPのRubiconProjectが2.4億ドル(日本円で約270億円)だったりと、ADNWよりもDSP/SSPが目立っている印象ですが、日本ではRTBベースでの取引はまだまだこれからといったかんじなのか、それとも日本独自のガラパゴス化が進んでいるということなのでしょうか。
では、続いて各プロダクトごとの売上推移について見てみたいと思います。
国内主要アドテクプロダクト -売上推移-
(※単位:百万円
前年同期(真ん中の数字)との比較ではAdstir/BypassとZucksとnex8が急激に伸びていて、前2つについては今回の四半期で急激な伸びを見せていますね。逆に売上規模の一番大きいnendは下がっていて、他プロダクトは前年同期比で+10%前後くらいの伸びにおさまっているというかんじでしょうか。
10-12月期は広告需要が高まる12月が含まれておりますので、2014年はQ3からQ4にかけてのどこも堅調に伸びていますが、2015年は伸びているところとそうでないところの明暗がハッキリと別れています。
そういえば以前にアドテク市場の市場規模予測というものが出ていましたので、こちらとの比較もしてみたいと思います。
※アドテクスタジオ/シード・プランニング共同調べ 2014年9月発表の資料
これで見ると2014年から2015年にかけてSSP/DSP(=RTBを経由したディスプレイ広告)は+30%増、ADNW(=CPC・CPM課金型アドネットワーク)は+20%増となっているのですが、実際の決算内容の数値は16%増と予測ほどの伸びは見せていないのかなと感じます(たまたま上場企業のプロダクトが伸びていないというだけかもしれませんが・・・)。
というわけで、いつもどおりとくにまとめるわけではありませんが、こうしてまとめてみると各プロダクトの立ち位置や全体の市場感がわかっておもしろいなと思いました。
次回はアドテクに並ぶインターネット広告商材の「アフィリエイト関連プロダクト」について同じようなかんじでまとめてみたいと思います。