インターネット広告企業様をゆるく調べてみた

いまをときめくインターネット広告企業様についてゆるく調べます。たまに別の業界のイケてる企業様も紹介します。

【2015年4-6月期】国内最大のSSPを提供する「VOYAGE GROUP」の決算を見てみました

今日はVOYAGE GROUPさんの2015年4-6月期決算が発表されていたので書いてみたいと思います。

 

 前回の決算発表の時も書きましたが、VOYAGEさんは1999年設立の2012年にサイバーエージェントグループからMBOで独立して、2014年にマザーズへ上場したネット企業です。国内最大級のSSPサービスを展開するFluctを中心とするアドテクノロジー事業と、ECナビなどポイント系メディアを中心とするメディア事業の2つを主軸にそえている、まさにイケてるネット広告会社さんです。

 

さて、今回の決算ですがまず結論からいうと、やや市場の期待からは下回った内容となっていたようです。

 

本日の12時に決算が発表されて、発表前と発表後の株価がこちら。

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※出典元:Yahooファイナンス

 

決算発表された直後から一気に下がって、最終的には前日比-5%となっております。

 

 

では、今回の決算内容から、どんな点が市場からの期待を下回っていたのか、気になる点などは数値を加工しながら見てみたいと思います。

 

まず、こちらが売上と営業利益の推移です。

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説明にも書いてあるととおり前年同期比で売上・営業利益ともに12%増加と順調に成長しておりますが、上場後の2014年4Q以降では前四半期比でも右肩上がりに続いていた成長が止まっているようにもかんじますね。とくに今回は営業利益(営業利益率)の低下が気になるところではありますが、ただこちらは4月の新卒入社と同じく4月に連結子会社化したSSPのKauli社による、51名分の人件費増加分が影響したようです(人件費 前期比:+7800万)。

 

 

では冒頭にも書いたように、VOYAGEさんはアドテク事業とメディア事業の2大柱で成り立っておりますので、それぞれのセグメントではどうだったのかを見てみましょう。

 

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メディア事業がやや下がり気味で、その分をアドテク事業が補っているというかんじですね。前年同四半期比と前四半期比の部分だけまとめるとこんなかんじです。

 

2015年9月期3Q(2015年4-6月期)

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まとめてもそのまんまですねw

 

 

全体的に見るとやや成長は鈍化しているものの、営業利益の減少などは想定の範囲内かと思いますので、ここからは個人的に気になった部分の見解を述べてみたいと思います。

 

一番気になったのはVOYAGEさんでも主要事業にあたるアドテクセグメント内におけるSSP事業の売上推移です。

 

まずはそんなSSP事業の推移はこちら。 

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推移を一見すると、すごく順調に見えます。

 

ただ、このグラフではわかりづらいですが、時期的な要因もあるかと思いますが毎年2Qから3Qにかけては大きな成長率を示しており、その成長率を比較すると大幅に下がってしまっております。

 

数値にするとこんなかんじです。

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2013年9月期と2014年9月期は2Qから3Qにかけて大きく成長しており(とくにスマホ領域)、このタイミングで一気に底上げされてから堅調な推移を保っていました。それが今回の四半期から前四半期比での成長率がこれまでと比べると鈍化しているのは、やや踊り場に差し掛かっているのかなというかんじがします。とくに順調に推移していた「SSP-スマホ」に関しては成長率の推移では大幅減になってしまっていますね。

 

やはりスマートフォンがある程度ユーザーに行き渡ってしまい、 広告配信の母数(広告配信数)の伸び自体が鈍化しているのでしょうか??

 

ここで、インターネット広告業界における大半の売上は「広告配信数(=imp数) × 広告配信単価」で成り立っておりまして、ちょうどSSP事業のところに広告配信数がのっておりましたので、これを売上から割り戻して広告配信単価を算出し、その2つを前四半期ベースで比較した数値を見てみたいと思います。

 

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2013年同期比の成長率と比べると広告配信数の伸びが鈍化していて、2014年と比べると広告配信単価の伸びが鈍化しているかんじですね。広告配信数はユーザー数の伸び悩みで、広告配信単価は出稿広告主数の減少による影響なのでしょうか!?

 

 

このあたりが冒頭にも書いた市場からの期待を下回った理由として合っているかはわかりませんが、決算書の資料に載っている数値だけでなく、様々な角度から見てみるとまたおもしろいですよね。

 

(あまり自信がないので結論は淡白ですw)

 

 

さて、そんなVOYAGE GROUPさんの今後の戦略ですが、やはり一番気になるのは、直近で子会社化したKauli社や資本業務提携を行ったログリー社が、アドテク事業で国内最大のSSPであるFluctとシナジーをきかせ、よりアドテク業界内でのポジションを確立できるかどうかというところでしょうか。

 

 

VOYAGEさんには 日本を代表するアドテク企業としてこれからもがんばってほしいです。

 

 

ではでは、このへんで。